イエローブリックロード
2008/3/10


「やぁこんにちは。足? あぁ、本当だ。いつの間にこんなになってたんだろう。折角の綺麗な道に嫌な足跡を付けちゃったね。けど大丈夫、痛くはないんだ。だって、ボクの血じゃないもの。そんなことより、この道はあとどれくらい続くのか知らないかい? 随分歩いた気がするんだけど、一向に終わりが見えないんだよ。あんまり長く歩き過ぎて何のために歩いていたのかも忘れてしまったし、もう散々さ。本当、どこまで続いてるんだろう。ねぇ、この道はどこに出るんだったかな? あぁ、目的地まで忘れるなんて! 遠い所へ行くんだよ、それだけは確かなんだけど。ところで、キミたちはどこへ何をしに行くんだい? ……足りない知恵を補いに? 無くした心を取り戻しに? 臆病だから勇気を貰いに? ふぅん。それじゃあ、最後のキミは? ……家族のところへ帰るの。へぇ、皆目的は違うのに行き先は同じなんだね。それはこの道の向こうにあるのかい? だったらボクの行き先もそこかもしれないな。だけど、キミたちはどうしてそこへ行くんだい。ボクにはその必要が無いように見えるけど。だってそうだろう、キミはボクの足が血塗れだって判断できたしキミは血塗れの足を心配できたしキミは赤の他人であるボクに話し掛けれたじゃないか。キミだって、家族のところへ帰るのなら来た道を戻ればいいだけだろう。これ以上長い道を無理に進むことはないんじゃないの? ボク? ボクはほら、目的を忘れてしまったから。進むしかないんだ。この道の先にあるどこかへ何かをしに行く途中だってことは覚えてるからね、きっと進んでいけば思い出すんじゃないかな。例えば目的地に着いた時とかに。それでキミたちはどうするの? 引き返す? うん、それがいいよ。キミたちにはもうこの道は必要無さそうだからね。……それじゃあさようなら御達者で。ボクはもう少しの間一人で歩いてみるとするよ」


the finis.

 真面目に緑を書いてみよう計画の一端。同タイトルの絵の状況説明的なものでした。