あと三時間ほどで今年の役目を終えるクリスマスツリーは、片付けられる前最後の点灯をされ、きらきら光を放っている。
「あー、片付けるの勿体無いよぉ。ずっと出してちゃ駄目?」
ラリーの訴えに、やめておけとジャックが答える。
「えーっ、何でー?」
「有り難味が減る。来年のクリスマスに、仕舞っていたツリーを出す楽しみを無くしたいか?」
「うぅ……」
二人のやり取りにナーヴたちが忍び笑いを漏らした。くく、と三人分の声が重なる。
「ジャック、来年の話をすると鬼が笑うぞ」
「鬼が何だ、勝手に笑わせておけ」
確かに、差し当たっては来年のクリスマスより目前の年越しが重要だがな。ジャックが言うと、三人は忍び笑いを溜息に変え頭を抱えた。年越しは、色々なものの清算時期である。例えばツケ、例えば借りもの。
「ヤベェんだよ……オレ年越せないかも」
「オレも」
「オレもだよ」
再生工場の賃金はあまりよろしくないのだ。ツケでなんか飲むからだ馬鹿めとジャックが辛辣な言葉を吐く。
もーぉいーくつ寝ーるーとぉ、おーしょぉがぁつー。項垂れる三人の横で、ラリーが陽気なメロディを歌った。