注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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 一時二十三分。昼休みだ。間に合うかもと思ったが、やっぱり午前の授業は遅刻ですらなく全滅だった。
「城之内遅ーい」
 教室の後ろのドアをそっと開いた途端、杏子の声が飛んできた。
「海馬でもないのに重役出勤かよ。もう昼だぜ」
「本当だよ。何かあったのかと思っちゃった」
 いつもの面子が集まってる机に近付く。机の上にはもう粗方片付いた弁当箱やらパンの袋やらが散らかっていた。
「城之内君、お昼食べた?」
「やー、まだまだ。さっき購買でパン買ってきたし、今から食う」
「あら、見事に菓子パンばっかり」
 売れ残りなんだから仕方ない。焼きそばパン、カレーパン、冷たいホットドッグ、そういう惣菜パンは飢えた男子高生が狩り尽くしてったあとだったんだ。コンビニ寄ってくりゃよかった。畜生。
「菓子パンばっかりにプラスだとキツイかしら」
 杏子が遊戯たちの顔を見る。全員、微妙な、神妙な、顔で頷く。
「ま、城之内なら平気なんじゃねぇか? な?」
 本田がオレの肩を叩くが、何が言いたいのか意味が解らない。オレが平気って何がだ。疑問は、杏子が机の横に下げてた紙袋から白い箱を出したところで解けた。
「ハッピーバースデー!」
 全員の声が揃っていた。机の上のゴミが端に寄せられ、空いたスペースにケーキの箱が置かれる。
「もう、来なかったらどうしようかと思ったよ」
「今何分だ? まだ時間あんな。蝋燭点けっか」
 本田がケーキに蝋燭を刺していく。カラフルな蝋燭が、長いの一本、短いの八本。おめでとうオレ、祝十八禁解禁。点けろよと本田がケーキをオレの方に押し出す。
「あ、けどオレ、ライター持ってねぇぞ」
「え? マジで? お前吸うじゃん」
「金と健康と法律と口煩い奴がいる関係でやめたんだよ。本田点けて」
 あーお前の怖い彼女な、なんて言いながらポケットを探りやがる。見付けたライターで蝋燭を灯しながら、本田は一遍紹介しろってのにとぼやいた。
「やっべぇ!」
 朝刊配達のあと、二度寝して、目が覚めたら昼だった。なんだってこんなことになってるのか、混乱したまま目覚ましを凝視する。オレは寝汚いけど、それにしたって昼は無い。午前の授業全滅じゃねーか、コレ。
 目覚ましは一見普通に動いていたが、よく見ると針が変だった。アラーム用の針がずれていた。配達から帰ってきて、暗い中手探りでスイッチを入れた、その時だろう。なんかに爪が引っ掛かった気がしたんだよ。これか。これなのか。
 脱力しつつ目覚ましを床に置いた。洗面台に走る。顔を洗って歯を磨いて、大急ぎで着替えて、玄関からクソ寒い外へ飛び出した。
「あン?」
 郵便受けに、何か微妙にでかいものが突っ込まれている。放っていくかなんなのか確かめていくか、迷ったが確かめることにした。どうせ大遅刻だ。今更、郵便受けを開ける程度の時間気にするのも馬鹿らしい。
 小包っぽいそれを取り出し、送り主の名前を探す。川井静香。静香だ。もうここまできたらちょっと荷開けしてから行くのも変わんねぇよな、うん。
 小包を開封すると、赤い毛糸が見えた。引っ張り出すと、それは細く長く延びる。マフラーだった。赤いマフラー。それと、メッセージカードのようなもの。二つ折りのカードを開くと、そこには誕生日おめでとうと書いてあった。
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