人魚がしないなら人がすればいいじゃない（マリー＝アントワネットのノリで）。というわけで昨日の続きを考えてきました。
　目の前で海の藻屑になられても寝覚めが悪いということで船から落ちた王子もとい海賊を助けた瀬人ですが、海賊はさすがに柔な王子とは違ったので、嵐の海に放り出され波に飲まれても結構長いこと意識を保っていました。水中でよく見えなかったりはしましたが、なんか人魚が泳いでくるのはうっすら見えたわけです。残念ながら海面に出る前に意識が落ちたのではっきりと人魚であると確認できたわけではありませんが、あとから考えれば人が嵐の海を泳いでるわけないし魚が人を助けるとも思えないしで、人魚が実在したと考えるのは妥当でした。
　そんな風に姿を見られていたとは気付いていない瀬人は、意識の落ちた海賊城之内君を抱え海面へ出、陸に向かって泳いでいきます。仲間割れは比較的船の目的地だった場所の近くで起きたらしく、少し行くとすぐに港が見えてきました。その辺の海岸にでも打ち上げといてやればあとは自分でどうにかするだろうと、浅瀬に城之内君を放置し瀬人は帰ってしまいます。
　数時間後、倒れていた城之内君を発見したのは静香ちゃんでした。帰港した船に城之内君が乗っておらず、聞けば海に落ちたとのこと、静香ちゃんは城之内君が海岸に流れ着いたことに一縷の望みを託し辺りを探し回っていたのでした。倒れていた城之内君を揺さ振って起こし、だから海賊なんてやめてって言ったのにと言う静香ちゃんに、全く話を聞いてない様子で城之内君は静香ちゃんが来た時に他に誰かいなかったかということを尋ねました。勿論瀬人は静香ちゃんが来る何時間も前に浅瀬を去っているので、誰かなんて静香ちゃんが見たわけはありません。見てないけどどうしたのと問う静香ちゃんに、城之内君はこう言いました。

「なんかオレ、人魚に助けられた気がすんだけど」

　これを聞いたのが杏子だとか舞さんだとかだったなら、頭打ったの？　とでも返したでしょうか。しかし静香ちゃんの返答はこうでした。

「凄いねお兄ちゃん！」

　こうして城之内君と静香ちゃんの命の恩人魚探しが始まります。毎日海岸へ来てどこかにその姿が見えないものか目を凝らしてみたり、人目に付きにくい入り江へ行ってみたり。そしてある日姿を見られていたとは思いもしない瀬人がいつものように人の世界のものを収集すべく漂着物の多い入り江に来ていたのを発見するのです。
　見付かった瀬人は一瞬固まったのち海の中へ逃げてしまいましたが、人間たちは初めてはっきりと視認した人魚にテンションだだ上がりです。人魚だったからというのもありますが、命の恩人魚が実在したというのが探してた運命の人（人魚ですが）をやっと見付けた的な感情に近いものをもたらしてました。
　一旦は逃げた瀬人ですが、人間たちが逃げられてもめげずにお礼を言おうと探してるのをこっそり窺う内にだんだん彼らにほだされていきます。そして元々人の世界に興味があったのもあって、姿を隠す必要の無い人間になって人の世界にいきたいと思うようになるのでした。以下略。


　拍手有り難う御座いました！　人魚萌えです人魚。