注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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 クリスマス企画です。初めにクリスマスお知らせをご覧下さい。

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 その間にも靄と闇はいよいよ深まったので、幾らかの作業員はラインを離れてバス停へ向かったものだった。工場の時計はとっくに六時のベルを鳴らしていた。大通りからはクリスマス特有の騒がしさが聞こえてきている。ケーキや鶏肉、或いはシャンパンを売ろうとする店の呼び込みや、無意味に流されるクリスマスソングで通りは溢れ返っていた。普段粛々と行われている筈の売買取引が、この日ばかりは見世もののような様相でいるに違いなかった。
 靄の酷さに寒さも加わってきた。冷気は一層突き刺すようになった。とうとう、工場の閉じる時刻がやってきた。嫌々ながら瀬人は椅子を降りて、工場が閉じられる事実に暗黙の承認を行った。先ほどの作業員が、今度こそタイミングを逃すまいと早速やってきた。
「話があるなら工場長を通せ」
「知り合いの方がまだ頼みやすいんじゃないかって、その工場長の期待を受けて話に来たんだけどな」
 瀬人が片眉を吊り上げる。品行方正とは言い難い金髪の作業員は、所謂かつての同級生というものであった。
「明日の話か? 明日は丸一日工場を閉めたいと?」
「閉めれんなら。てか土曜じゃねぇか。皆休めるつもりでいたってのに」
「それはそちらの責任だ。納品が遅れている以上、休日を潰して遅れを取り戻すのは契約上の義務だ」
「でも明日はクリスマスじゃねぇか」
 瀬人はその言葉を鼻で笑った。
「そうだな、明日はクリスマスだ。来年の明日も、再来年の明日もな。毎年使うには些か不出来な言いわけだ」
 コートのボタンを留め、部屋を出る準備をしながら瀬人が言う。
「クリスマスを楽しみに思いもしねぇ奴が言ってんじゃねぇよ。さっきの客だって、あんな追い出し方されて可哀想ったらないぜ」
「そう思うのは貴様が馬鹿だからだ。あんな胡散臭い連中に寄付など」
 瀬人はもう一度男を鼻で笑った。
「ともかく、どうしても明日は丸一日工場を閉めたくてならないのだろうな。いいだろう。だが、明後日はいつもより早く工場を開けるようにすることだ」
 それくらいは言われるだろうと工場長にも想定されていたところだったので、作業員はそうするということを了解し、明日の休みの約束を取り付けた。瀬人は不服ながらも事務室を出、迎えを呼んだ。工場は瞬く間に閉じられてしまった。作業員はマフラーと手袋代わりの軍手だけを身に着けて、というのも彼はコートを持っていなかったので、一目散に賑やかなクリスマスの街を駆けていった。
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