注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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 クリスマス企画です。初めにクリスマスお知らせをご覧下さい。

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 瀬人が目を覚ました時、天蓋の隙間から覗いた外は、壁と窓の区別が殆ど付かないくらいに暗かった。彼は獲物を狩るシルバーフォングのように慎重に、闇を見渡そうと視線を巡らせていた。折りしも、広間の方から、扉や壁を隔て微かに、大時計の鐘が聞こえてきた。彼は鐘を聞こうと耳を澄ませた。
 驚くべきことに、鐘は六つ七つと続けて打たれ、更に八つ、九つも打たれた。そして、ちょうど十二を打ってぴたりとやんだ。十二時だった。彼が寝台に潜り直したのは殆ど十二時に近かった。時計が狂っているに違いなかった。あまりの寒さに、時計の内部が霜にやられでもしたに違いなかった。何故なら、鐘は十二打たれたのだから。
 彼は正確な時間を知ろうと部屋の小さな時計に目を向けた。その小さな長針と短針は、十二の上で仲良く重なり合っていた。
「どういうことだ」
 瀬人は呆然と声を上げた。しっかりと眠ったつもりだった。しっかりと、数分や数十分ではきかないほど眠った感覚がある。
「丸一日寝過ごして次の晩になったなど、あり得る筈が無い。二十四時間も寝ては背骨も痛むだろうし、第一使用人の誰も起こしに来ないなど。だが、太陽に異変が起きてこの闇が昼だというのも、もっとあり得る筈が無いだろう」
 だが万が一にもそんなことになっていたのであれば大変であるので、彼は寝台から起き出して、手探りで窓のところまで行った。外を見れば、そこは非常に暗く、靄も立ち込めていて、そして太陽がどうかしたと大騒ぎをする人々の声などは一切無い空間であった。彼は非常に安心をした。というのも、もし太陽が夜に飲み込まれるようなことがあったなら、彼の太陽光発電所は単なる奇妙な板の陳列所に過ぎなくなってしまっただろうと思われたからである。
 両方の時計が狂ったか、或いはアテムの霊に会ったのも何もかも夢で、本当に眠ったのはもっと早い時間だったのか、そのようなところだろうと考えて瀬人は再び寝台に入った。些か不気味な思いをしながらも横になり、時が過ぎるのを待った。霊は十二時だといった。何ごとも起きない。が、彼がいよいよ安堵の息を吐き出したその瞬間に、大きな雷鳴が轟き、そして霊が来た時と同じように、何か近付いてくる気配が部屋に充満した。
 彼の寝台の天蓋は、敢えて断言するが、しっかりと閉められていた。それが、勝手に開いて、瀬人とその第一の訪問者の顔を突き合わさせた。ちょうど今、書き手の視点が読み手に近付いているのと同じくらいに接近して。そして、この視点は精神的には読み手に非常に近しく定められているのである。
 それは、部屋に合わせたか幾分縮んだ姿で、とぐろを巻き浮かんでいる赤い竜であった。三体の神と聞いた時に予感もしていたが、まさか本当にこの神だとは! 神は、決闘においてそう呼ばれる、札に描かれた魔物の一体であった。このもの言わぬ神から何を聞けというのだろうか。もしや、もの言わぬのは決闘の札としてある時だけで、こうして現れた時には人のように話をするようになるのだろうか。
「お前が第一の神なのか」
 さよう、と、低く静かな声が聞こえた。否、瀬人の心臓はそのような意味だと理解したが、実際、耳に届いた音はもっと別な何かであった。傍から発せられたというより骨を直接震わされたように、おかしな低さの音だった。
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