注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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 クリスマス企画です。初めにクリスマスお知らせをご覧下さい。

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 泥のような眠りの最中にふと目を覚まし、完全に覚醒してしまおうと上体を起こしながら、瀬人は誰に聞くでも時計を見るでもなく、広間の鐘がまた十二時を知らせるところであると分かった。あの自称エジプト王の斡旋でやってくる神と会議を執り行おうというには随分際どい時間に目覚めたものだと、彼は心の中思う。今度の神もやってくれば勝手に天蓋が開くような事態になるのだろうかと、考え出すとどうにも気味が悪く、彼は自分で垂れ下がる布の幕をすっかり開ききった。それから、寒さに掛け布を引き寄せて、じっと神の出現を待った。
 いざ十二の鐘が鳴らされると、ところが、神は現れなかった。十分待ち、二十分待ち、瀬人はしだいに不安に包まれてきた。彼は神の出現にはそなえ、覚悟していたが、それ故、何も現れないことに不意を突かれていた。
 三十分待って、彼はあることに気が付いた。部屋の戸の向こうから差してくる光の筋は、夜間照明のそれより幾らも明るかった。この怪しい光の本体を検めるべく、瀬人は起き上がり、扉を開けた。開けたところには何も無かったが、光は広間の方角から一層強く溢れてきていた。彼はそろりと歩き出した。
 広間にはクリスマスツリーが立てられていたが、彼はそれに見覚えが無かった。そして、その大きな高天井にさえ届きそうなツリーと同じくらいの身の丈の神になど、もっと見覚えが無かった。いや、正確には、神の姿には見覚えがあった。神がそこにいるという状況に覚えが無かった。
「第二の神か」
 彼が問うと巨神がゆっくり頷いた。いかにも、と、またあの不思議な音で彼に話し掛けた。
「私は今を見せよう。今年のクリスマスを見せよう」
 たちまち広間のシャンデリアが灯り、どこからか、彼の女中たちが現れた。
「見えていないのか?」
 最初の神に過去へ連れて行かれた時のことを思って、瀬人はそう尋ねた。巨神が、見えていない、と鸚鵡返しに答える。女中たちはそれらの遣り取りを全く意に介せぬ様子で動き回っていた。彼女らは、ワゴンを押したりブラシを掛けたり忙しくしていたが、暫くすると全部どこかへ仕舞ってしまって、綺麗に足をそろえた二列に並んだ。
「ああ寒かった!」
 玄関扉が開き、ホールへ集団が飛び込んできた。先頭を切っていたのは瀬人の弟だったが、その後ろの面々も彼は知っていた。それは先ほど過去のクリスマスで学生服を着ていたものたちであったし、内一人については、イヴの夕方に工場でクリスマスの休暇の訴えを持ってきた男でもあった。
「あとからもうちょっと来るから。そしたら娯楽室の方に通してくれる?」
「かしこまりました」
 一人の女中が頭を下げる。
「何、もうちょっとって誰くんの?」
「大学の奴ら。お前ら生で見てみたいって言うからさぁ」
「お、何、もしかして可愛い女の子きたりとか?」
「来るけど決闘ジャンキーの遊戯ファンだぜ。友だちとしてはいい奴だけど口説くのはおすすめしない」
 一団が騒ぎながら娯楽室に向かうのを見送っていると、神の巨大な手が瀬人の背を押した。付いて行って見ろと言うのだった。瀬人は気が進まなかったが、抗うには、その手は大き過ぎた。
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