注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
Calendar
<< 2025/03 >>
S M T W T F S
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31      
AdministrativeLink
 クリスマス企画です。初めにクリスマスお知らせをご覧下さい。

+++

 それから瀬人はまた別な場所へ連れて行かれた。彼の弟たちのパーティを終わりまで見ることは無かったが、別なパーティをたくさん見せられた。神は彼を本当にあちこちに連れ回したので、瀬人は不思議な気分になった。というのも、瀬人が過ごした時間は明らかに何時間にも渡っていたのに、どのパーティもいまだ終わる気配が無いところに彼は到着していたのである。まるで同じ時間を別な場所で繰り返し過ごしているようだった。
「そろそろ一日が終わる。私は去ろう。次が待っているだろうから」
 神が音で囁き掛けてきた。それで、瀬人はもう二十四時間も人のパーティばかりを見させられてきたのかということに気が付いた。そして、自分の不思議に思った感覚がやはり間違いでなかったことも確信した。
 パーティの様子を見ていた瀬人が振り返ると、神はいつの間にか二体のトークンのようなものを携えていた。決闘においては二体の生贄を得て強力な攻撃を繰り出す神だが、こうして現れた神も同じようなことをするのだろうか? 疑問に思った瀬人が問うと、神は頷いて答えた。
「これらは結界でなく人の作り出したトークンである」
 なるほど、それらは人の形をしている。しかし、ただ人と言うよりは、いかにも不幸な人の形をしていた。二体のトークンは、寒い冬の日だというのに薄い襤褸のような服しか着ていなかった。そして、痩せた腕で、片方は頭を、片方は腹を抱えていた。
「これは無知である。こちらは欠乏である。そしてこれらを得て私が行う攻撃の名は滅亡である」
「無知と欠乏が滅亡を招くと?」
 いかにもと巨神は重々しい音を立て空気を震わせた。
「何か、無知と欠乏を補うものは無いのか」
 瀬人が問う。
「公共の支援所は無いのでしたか」
 神は瀬人が前の夕方に言ったことを繰り返した。そして二体のトークンを抱えながらもう一度音を立てた。
「民間の炊き出しは、あれは今年も? 社会保障の、なんでしたか、あの法も充分に活用されていると?」
 十二時の鐘の一つ目が打ち鳴らされた。
 瀬人は辺りを見回して巨神を探したが、それはすっかり消え失せてしまっていた。十二の鐘の最後の一つが鳴った時、彼はエジプト王の霊が言ったことを思い出した。そして、闇の中を飛ぶ太陽のように明るい幻影が近付いてくるのを見た。
<< Future  BlogTop  Past >>
BlogPet
突付くと喋りますが阿呆の子です。
BlognPlus


Template by Toko/A violet