注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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 瀬人誕ですね! いやちょっと過ぎてますけどそこはほら時の魔術師的なアレで。最近は本当に更新できてないどころでなく放置に近い状態にも関わらず、サイトに来て下さってる方がまだいて、嬉しいです。という気持ちでちょっとだけ、瀬人誕っぽくないけど一応誕生日の出来事ってつもりで小ネタを書いてみました。カップリングは無しで、原作終了後。今回は本当に小話程度、しかもhtmlを弄る時間も無いのでこのブログに載せるだけなんですが、そういうまだここを覗いて下さってる方に楽しんでもらえればと思います。

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 廻る季節に

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 庭の林檎の木から、熟れ過ぎた実が一つ、枝の付け根を腐らせて地面に落ちた。ちょうど窓に目をやった瞬間のことだった。
「林檎が落ちましたね」
 それに気を取られたと悟られたらしい。先程まで淀みなくスケジュールを読み上げていた磯野は、特に感情も無い声で、淡々と事実としてそれを告げた。
「秋も終わるからな。時期だ」
「ええ、もうすぐに冬ですからね。今年は少し遅くまで実を付けていましたが」
 今年は、という言葉に去年はどうだったかと思い廻らせる。去年は、一昨年は、その前、更に前。この林檎の木はいつから植わっていただろうか。苗木と言うほどではないが、もっと細く頼りない姿だったのを見た覚えがある。
 暫く考え、だが正解は思い出せなかった。この木はいつの間にか植わっていて、そして恐らくこの屋敷の人々が、自分が、前のみを見て急ぎ足早に生きていた間に根を張り枝葉を広げていたのだった。
「去年は、あの木は、実を付けたのか」
「はい、付けておりました。立派な実が生っておりましたよ。誰も収穫しなかったもので、あれのように腐って落ちるか、鳥の餌になっておりましたが」
 窓の外など見もしなかったのか、単に忘れているのか、語られる光景に覚えは無い。
 去年の今頃、自分はいったい何を見ていただろうか。その答えは簡単に、だが不鮮明に、心内に浮かび上がった。
 束の間、夢のような世界を見ていた。損得でなく、金銭でなく、ただ好きであるということだけが全ての世界を見ていた。実際は損得も金銭も絡んでいたが、それは自分に限った話でなかったが、そんなことは舞台に立った瞬間に忘れ去れるような世界を見ていた。
 その世界を去ったことを、悲しいとは思わない。引き際だったとも思う。だが喜んで去ったわけでもない。ただあまりにも鮮やかなその世界の、色褪せるさまを見たくはなかった。それを見るくらいなら、褪せる前にその世界を去りたかった。
「木の根元に、幾らか雑草にしては丈夫そうな草が生えているでしょう」
 窓の外を磯野が指差す。
「あれは、多分、林檎の苗木ですよ。去年落ちた実から、種が育ったのでしょうね」
 指し示された先を見れば確かにそれらしきものが見える。人間の関与など無くとも、かの植物は勝手に植物相の形成を行っていたらしかった。正しくは子孫繁栄と取るべきだが、前の季節に腐り落ちた林檎が、芽を出し、育ち、実を付け、そしてまた実を落としてと繰り返していくのだろう様子は、人の魂が生まれ変わりなりなんなりと廻るのと同じように思えた。勿論、魂というものが存在すると仮定したならばの話だが。
 謂わば、実を記憶とし、種を魂として。一度廻るごとに記憶は腐り落ち、しかし魂は絶えること無く。庭の木の根元には何本もの若木が生えている。ああいう風に、何人もの魂が、また近いところに集うようなことが、あるのだとしたらそれは大した奇跡だ。
 今しがた落ちた林檎は、また春に芽を出し、育ち、淘汰されなかった幾らかについてはいずれ実を付けるまでになるだろう。色鮮やかな実が生るその頃には、また窓の外を見てもいい。
 また何度でも、廻る季節のその先には。

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 そういえば、誕生日といえば、先月の私の誕生日にコメント下さった方、本当に有り難う御座いました! まさか覚えてもらってるとは思いもよらず、サプライズ気分で凄く嬉しかったです。
 それから体調不良にもお気遣い有り難う御座いました。先の記事は身バレ防止のためにちょちょっと記述を削ったりなんだりしましたが、頂いたコメント自体は大変励みになっています。
 そして今日(と言い張る)瀬人誕でコメント下さった方も有り難う御座います! 時の魔術師してはいますが、行事モノ好きのサイトとして、久し振りの更新を瀬人誕で出来て良かったと思ってます。ローペースの現状でも、行事モノで思い出されるようなサイトでいたいなーと思うので、また折々に覗いていただけると嬉しいです。
 他、拍手などなど有り難う御座いました! こんなペースですが、これからもお付き合い頂けるといいなと思います。
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