注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
※七夕&モクバ誕企画です。遡ってその1からどうぞ。
さて、次の短冊にいくよ! 次の短冊はこれだ。
―[「性格の悪いデュエリスト」の続編が読みたいです!]
これは・・・何という無茶振り。
さすがに期間中随時更新で話一本は無理だったんでしょ?
それが、そうでもないのさ。当サイトの企画は無茶振り上等でなくてはならない! 何故ならキング・・・間違えた、企画だからだ! というメモとともに中の人が短編を置いていったよ。
まぁ、言ってみればこの企画自体閲覧者に対する無茶振りだからな。
そういうことさ。さて、そんなわけで「性格の悪いデュエリスト」の続編だ。カップリングは本編と同じ大人モクバ×茶色瀬人。残念ながらボクの出演は無しさ! 一応隠しておくから、読む人は下の【性格の悪いデュエリスト 続編】をクリックしてくれ。読まない人は次の短冊まで暫く待つように!
【性格の悪いデュエリスト 続編】
+++
「副社長ー、もう二時半ですよー」
部下に声を掛けられて、慌てて時計を見た。
「うわ、本当だ。片付けて出ないと」
昨夜損ねた兄の機嫌回復のため、実に久し振りに、今日三時からドームで行われる彼のデュエルを観戦に行くと約束したのだ。昨日の時点で多少以上上向いていた兄の機嫌だが、ここで約束を破りでもしたら急下降は免れまい。
机に広げた書類を纏め、社外秘のものを引き出しへ、それ以外を封筒に入れ鞄の中へ仕舞い込む。
「それじゃ、あと宜しく。急ぎの出てきたら連絡入れて」
返事を背にフロアを飛び出し、地下の駐車場へ向かう。出口近くに止めておいた車に、急いでキィを差し込んだ。
本社から目的のドームまで自体は、さほど遠くない。ただ、満員御礼の一般客席に座るわけにはいかず、関係者用に都合された席は大回りしないと辿り着けない所にあるというだけで。
席に着いた時にはほぼ三時だったが、舞台ではここまでの対戦結果を紹介しているところで、まだ兄が出てくる気配は無い。これは開会か進行がずれ込んだのだろう。慌てた分拍子抜けだ。
途中少し走った所為でほつれてきていた髪を括り直し、ぼんやりと結果に聞き入った。
兄が出るのはエキシビジョンだから、正規参加者の結果発表の中にその名前は無い。エキシビジョンの相手は誰だったか、随分と前に広報から聞いた気がするが、そのあとの調整やら何やらは兄の側で全てやっていたから忘れてしまった。確か、最近人気のあるデュエリストの一人とか、そんな相手だったろう。
受付に寄ってパンフレットを貰ってくればよかったなと思い出した頃、壇上の司会がエキシビジョンの開始を宣言した。
「期待の新星もさることながら、今大会もう一つの目玉――」
派手な、スモークとライトをふんだんに使った演出に合わせて兄が現れる。沸きあがる歓声に手を翳して答えるさまを見る限り、つくづくショービズに向いた人だ。もう一人、男だった対戦相手は、彼もまたエキシビジョンに登場するデュエリストらしく過激なパフォーマンスを見せている。場内のコールは聞き取れる殆どが兄を呼ぶもので、男にとっては完全なアウェイのようだ。だが、初めからそれを意識しているのだろう。男の衣装はどちらかというと悪役らしい。
兄は自分のホーム、そういえば本当にホームだ、ここはうちのドームなのだから。そのホームをぐるりと見回した。気付くだろうか、手でも振ってみようかと思ったが、そうするまでもなく兄の視線は関係者席、というよりもオレのところで一旦留まり、オレは遅れずに到着しておいて本当によかったと胸を撫で下ろすことになった。
デュエルは結果から言うと兄が勝った。当然だ。普通に、やれば滅多に負ける人じゃない。尤もエキシビジョンの勝敗などあまり重要ではないが、それ用にデッキを組んでいただけあって、多分相手もそうだったのだろうが、ショー性も充分だった。魔法や罠、大型のモンスターが、次々連鎖し入れ替わり立ち代り、ソリッドヴィジョンシステムの面目躍如といった様相だ。
デュエルが終わり合間の休憩となっても場内の熱気は醒めることが無い。このあと後半第一戦でやる組は大変だろう。
兄のエキシビジョンが済んでしまったところで、どうすべきか。帰るか、多分兄は帰らずこのあとも見ていくのだろうから自分もそうするか。
見ていくのなら何か飲み物でもと立ち上がり、関係者通路から回ると少し遠い売店へ向かう。通路は人に溢れた会場内からは想像できないほど人気が無い。コンコンと足音のよく響く床を歩きながらついでだパンフレットも買っていこうと考えていると、場内の沸く音も聞こえず、まるで開会前のチェックに来ている時のようだ。
少し歩いていると、ふと足音が反響しているかのような響き方になっているのに気付いた。だが、この床は足音を立てやすいが、通路自体は反響しやすい構造じゃない。
足音が二つになっているのだ。曲がり角の向こうからやってくるのが誰か、オレは何となく予測できた。何故なら、ここは関係者通路で、更にその足音が反響かと思うほどオレの足音と重なっていたのだから。
角から覗いた顔は、予測と寸分違わなかった。
「モクバ。なんだ、帰るのか?」
兄は両手に一本ずつ缶コーヒーを持って、がっくりと、目に見えて肩を落とした。
「帰らないよ。何か飲み物でも買いに行こうと思って。持って来てくれたみたいだけど」
「あぁ、これか。コーヒーでよかったか?」
「うん」
缶を一本受け取り、方向を転換して関係者席に戻る。横に並んだ兄が、あ、と声を上げた。
「さっき舞台から見た時にも思ったんだが」
白い指でオレの髪に触れ、毛先を軽く引っ張りながら兄が続ける。
「いつまでも仕事中のように髪を留めているのはいただけないな」
指はぱちんと音を立てて髪留めを外した。寝しなの約束は、きちんと履行されたようだ。
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エロ無くてごめんね!

―[「性格の悪いデュエリスト」の続編が読みたいです!]





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「副社長ー、もう二時半ですよー」
部下に声を掛けられて、慌てて時計を見た。
「うわ、本当だ。片付けて出ないと」
昨夜損ねた兄の機嫌回復のため、実に久し振りに、今日三時からドームで行われる彼のデュエルを観戦に行くと約束したのだ。昨日の時点で多少以上上向いていた兄の機嫌だが、ここで約束を破りでもしたら急下降は免れまい。
机に広げた書類を纏め、社外秘のものを引き出しへ、それ以外を封筒に入れ鞄の中へ仕舞い込む。
「それじゃ、あと宜しく。急ぎの出てきたら連絡入れて」
返事を背にフロアを飛び出し、地下の駐車場へ向かう。出口近くに止めておいた車に、急いでキィを差し込んだ。
本社から目的のドームまで自体は、さほど遠くない。ただ、満員御礼の一般客席に座るわけにはいかず、関係者用に都合された席は大回りしないと辿り着けない所にあるというだけで。
席に着いた時にはほぼ三時だったが、舞台ではここまでの対戦結果を紹介しているところで、まだ兄が出てくる気配は無い。これは開会か進行がずれ込んだのだろう。慌てた分拍子抜けだ。
途中少し走った所為でほつれてきていた髪を括り直し、ぼんやりと結果に聞き入った。
兄が出るのはエキシビジョンだから、正規参加者の結果発表の中にその名前は無い。エキシビジョンの相手は誰だったか、随分と前に広報から聞いた気がするが、そのあとの調整やら何やらは兄の側で全てやっていたから忘れてしまった。確か、最近人気のあるデュエリストの一人とか、そんな相手だったろう。
受付に寄ってパンフレットを貰ってくればよかったなと思い出した頃、壇上の司会がエキシビジョンの開始を宣言した。
「期待の新星もさることながら、今大会もう一つの目玉――」
派手な、スモークとライトをふんだんに使った演出に合わせて兄が現れる。沸きあがる歓声に手を翳して答えるさまを見る限り、つくづくショービズに向いた人だ。もう一人、男だった対戦相手は、彼もまたエキシビジョンに登場するデュエリストらしく過激なパフォーマンスを見せている。場内のコールは聞き取れる殆どが兄を呼ぶもので、男にとっては完全なアウェイのようだ。だが、初めからそれを意識しているのだろう。男の衣装はどちらかというと悪役らしい。
兄は自分のホーム、そういえば本当にホームだ、ここはうちのドームなのだから。そのホームをぐるりと見回した。気付くだろうか、手でも振ってみようかと思ったが、そうするまでもなく兄の視線は関係者席、というよりもオレのところで一旦留まり、オレは遅れずに到着しておいて本当によかったと胸を撫で下ろすことになった。
デュエルは結果から言うと兄が勝った。当然だ。普通に、やれば滅多に負ける人じゃない。尤もエキシビジョンの勝敗などあまり重要ではないが、それ用にデッキを組んでいただけあって、多分相手もそうだったのだろうが、ショー性も充分だった。魔法や罠、大型のモンスターが、次々連鎖し入れ替わり立ち代り、ソリッドヴィジョンシステムの面目躍如といった様相だ。
デュエルが終わり合間の休憩となっても場内の熱気は醒めることが無い。このあと後半第一戦でやる組は大変だろう。
兄のエキシビジョンが済んでしまったところで、どうすべきか。帰るか、多分兄は帰らずこのあとも見ていくのだろうから自分もそうするか。
見ていくのなら何か飲み物でもと立ち上がり、関係者通路から回ると少し遠い売店へ向かう。通路は人に溢れた会場内からは想像できないほど人気が無い。コンコンと足音のよく響く床を歩きながらついでだパンフレットも買っていこうと考えていると、場内の沸く音も聞こえず、まるで開会前のチェックに来ている時のようだ。
少し歩いていると、ふと足音が反響しているかのような響き方になっているのに気付いた。だが、この床は足音を立てやすいが、通路自体は反響しやすい構造じゃない。
足音が二つになっているのだ。曲がり角の向こうからやってくるのが誰か、オレは何となく予測できた。何故なら、ここは関係者通路で、更にその足音が反響かと思うほどオレの足音と重なっていたのだから。
角から覗いた顔は、予測と寸分違わなかった。
「モクバ。なんだ、帰るのか?」
兄は両手に一本ずつ缶コーヒーを持って、がっくりと、目に見えて肩を落とした。
「帰らないよ。何か飲み物でも買いに行こうと思って。持って来てくれたみたいだけど」
「あぁ、これか。コーヒーでよかったか?」
「うん」
缶を一本受け取り、方向を転換して関係者席に戻る。横に並んだ兄が、あ、と声を上げた。
「さっき舞台から見た時にも思ったんだが」
白い指でオレの髪に触れ、毛先を軽く引っ張りながら兄が続ける。
「いつまでも仕事中のように髪を留めているのはいただけないな」
指はぱちんと音を立てて髪留めを外した。寝しなの約束は、きちんと履行されたようだ。
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