注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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※クリスマス企画です。先に説明からご覧下さい。


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「兄サマー、お昼までには出発しようねー」
 扉越しの催促に、瀬人はほんの僅かに跳ねている前髪の修正を諦めた。ブローでどうにかする代わりに、普段は滅多としないヘアピンで跳ねる部分を横の方へ流して留めてみる。
「まぁ、これはこれで……」
 だが、問題はピンだ。いつもしないピンなど、ちょっと髪の毛を旧時代の家庭教師風に纏めてみたり無理やりアップにしてみたりした時に使ったきりの、地味を通り越した補助用ピンくらいしか、瀬人は所持していない。
 こんな、華やかさの欠片も無いようなピンなど!
 心の中で叫んだところで問題は解決せず、瀬人はコートを羽織りバッグを持って部屋を出た。髪形以外はもう準備を済ませている。ピンさえ気にしなければこのまま出掛けられるのだ。
 階下へ降りる間に擦れ違ったメイドたちに何かピンを持っていないかと聞いて回ったものの、「今していらっしゃるそういうピンなら」との答しか得られず、瀬人は少々落ち込んでホールへ出た。
「あ、やっと降りてきた」
「あぁ」
「……どうしたの。なんか元気無いみたいだけど」
 斯く斯くしかじか、ピンの件を瀬人が説明する。モクバは一瞬呆れたような顔になったのを取り繕って、ホールに飾られている樅の木から柊の飾りを取り上げた。
「ツリーのオーナメントでも付けていけば? ほら、可愛い可愛い」
 酷く適当な提案だったが、気に入ったようで、瀬人は忽ち機嫌を上向かせた。茶色の髪に赤と緑の柊はまず間違い無くクリスマスらしく、瀬人に似合っているといえば、似合っている。
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