注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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※クリスマス企画です。先に説明からご覧下さい。


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「まぁ、そんな大荷物で! 歩いて帰って来られたんですか? お車をお呼びになればよろしかったのに」
「いや、なんかね、歩道沿いのイルミネーションが綺麗だって……」
 歩いて帰ってきたのではなく歩かされて帰ってきたのだと、使用人たちに荷物を渡しながらモクバはこっそり肩を竦めた。それじゃ仕方ありませんわねと周りのメイドたちが軽やかに笑い声を立てる。
「あら、外は雪が?」
 瀬人のコートを脱がせ、磯坂がそう尋ねた。室温で既に融けかかっているが、袖や背中に白い氷の粒が付着している。ああこちらにも、と、箱を受け取ったポーターも雪の存在を知らせた。
「少し、な。冷え込むようなら積もるかもしれん」
「今晩冷え込むんじゃなかったっけ? 明日の日中も今日より寒い筈」
「では、道が凍らないように雪掻きをしておかなくてはなりませんわね」
 明日の朝は大変だとフットマンたちがささめき合う。そういった雑事は、あとで改めて彼らに任されるのだ。
「明日は大忙しですね。雪は降るし、お客様もいらっしゃるし」
「その客の一人にさっき会ったぞ」
「兄サマ、一人じゃなくて二人だよ」
「ん? あぁ、そういえば旦那と来たと言ってたな。いたか?」
 いたよ、とモクバが答えた。影が薄いといえば薄い人だが、いたか、とは酷過ぎる。影が薄いのも奥方の派手さが目晦ましになってで、一人としてみればそうでもない人であるのに。というか話し始めに夫人へデートかと聞いていた気もするのに。何度か仕事の上でも顔を合わせたモクバは、彼に少々の同情を禁じえない。
「パーティは明日として、今晩のお食事は?」
「クリスマス・マーケットで食べてきた」
「お菓子を、ね」
「本日分のカロリーを摂取してきた……!」
 言い直された科白に、またそういうことを、と磯坂が肩を怒らせる。
「オレは何か軽いの」
「瀬人様も一緒でよう御座いますわね。軽食を二人分、厨房に誰か」
 要らないと言っているのに! 瀬人の怒声を避けるように、フットマンが一人、行ってきますとホールを飛び出した。
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