注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
Calendar
<< 2025/03 >>
S M T W T F S
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31      
AdministrativeLink
※クリスマス企画です。先に説明からご覧下さい。


+++


 ぱちぱちぱち。ぼーっとする頭で、城之内は隣の海馬に合わせ舞台に拍手を送った。
 ヘンゼルとグレーテルは兄妹が魔女を倒し両親と再会するハッピーエンドで終わったが、そこまでは身振り手振りや舞台装置、最初の海馬の説明のお陰で理解できたが、そのあとで城之内の脳味噌はパンクした。
「なぁ、最後の何だったんだ?」
「何って?」
「歌だけのやつ。話は終わってた? よな?」
 何分言葉も解らなければ基本的な教養も乏しいのである。突如歌い出された曲の意味など、知る由も無い。
「今のなら、有名どころのクリスマス曲集じゃないか」
 知らないの、と思いっ切り馬鹿にして海馬が言ったが、知らないことが当たり前の城之内にその棘は突き刺さらなかった。
「知らねぇよ。ジングルベルと赤鼻のトナカイくらいしか」
「きよしこの夜は?」
「最初んトコだけなら。あ、もしかして三番目の曲それか? じゃなくて」
 今の曲は物語とは切り離されたおまけのようなものだったのか。
「つうかさ、途中で気付いたんだけど、この舞台英語ですらなかった?」
 よく気付いたねと言われ、城之内は得意気になった。海馬は褒めていない。褒めているかもしれないが、だとしたら一足す一を解いた幼児を相手にしている感覚だ。それを幼児でない城之内に適用するのは、つまり馬鹿にしている。
「だよなぁ、ディスもイズも出てこないから、だと思ったんだ。ホントは何語だったんだ?」
「ドイツ語だよ。さっきの歌も、皆ドイツの民謡」
 鼻歌でその内の一曲を再現しながら海馬が立ち上がった。オペラに終幕後のアンコールは無く、他の客も、既に幾らか席を離れている。
「さ、出よう。今から帰ると童実野町に戻る頃には九時過ぎだね。晩御飯は屋敷で? それともレストランがいいかな」
「どっちでもいいけどさぁ。そんな急ぐなって」
「だって、時間が無いじゃないか。ドイツ式の敬虔なホーリーナイトもいいけれど、やっぱり日本式に、別の『性夜』も過ごさないとね」
<< Future  BlogTop  Past >>
BlogPet
突付くと喋りますが阿呆の子です。
BlognPlus


Template by Toko/A violet