注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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※クリスマス企画です。先に説明からご覧下さい。


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 月明かりを頼りに手鏡を覗きながら、瀬人が頬を撫でた。
「何やってるの」
「いや」
 鏡をサイドテーブルに置き布団の中に潜り込むと、瀬人は先に入っていたモクバを枕に寝心地の良い姿勢を探り出した。定位置を見付け、よし、と呟いてから切り上げられたように見えた鏡の話を続ける。
「近頃すこぶる肌の調子がいいんだが、いいセックスをしていると調子が上がるというのは本当だろうか」
「え、その話題オレに振るの?」
 肯定すれば自画自賛、否定すれば自虐である。当人としてはノーコメントを貫きたいところだろう。何をしてるのかなんて聞かなければよかったと、モクバは遅い後悔をした。
「少し前はどうにも荒れやすくてな。その話を小百合にしたら、そう言われたんだ。静香も聞いたことのある話だと」
「ちょ、外でなんて話」
「実際、少し前までお預けだっただろう。術痕が塞がったはいいが拡張に手間取って」
「あんまり生々しい話は聞きたくないなぁ……」
「時期的にちょうど重なるんだ。北村は若い子の精気吸い取ってるからじゃないのと言うんだが」
「兄サマ忍ぶって言葉知ってる?」
 噛み合わない会話が虚しく天蓋の内に響く。精気は吸い取られるより失われてる方が多いんじゃないかな、と、モクバは突如感じた疲労にそう思わざるを得なかった。多分、失われている。今まさに。
「忍ぶくらいオレの辞書にも載っているわ。だがそもそも何を忍ぶことがある」
「やー……オレたちの場合割と結構あるんじゃない?」
「愛の前に性別なんて」
「それバイの人が言わなきゃ説得力無いと思うんだ」
「というか間違えたな。愛の前に近親だなんて」
「もの凄く同意だけど、ほら、慎みとゴシップ的にさ……」
 ゴシップ程度で傾く海馬コーポレーションではないが、週刊誌に載るのはもう懲り懲りなのだ。女になりました会見のあとの、マスコミ連中の猛攻といったら! あのうんざりする状況を思い出して、モクバは深く溜息を吐いた。
 瀬人の目の冴え具合からいくと、溜息が寝息に変わるにはまだ暫く掛かりそうである。
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