注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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※クリスマス企画です。先に説明からご覧下さい。


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「あークソ、さみいな」
 柄悪く吐き捨てながら、城之内は震える手で鍵を取り出し海馬邸の玄関扉を開けた。時間が時間なので使用人の応対は無い。一応警備にだけ夜勤のものはいるらしいが、屋敷本体ではなく詰め所からモニターで様子を窺っているに過ぎず、わざわざやってきて扉を開けたりはしてくれないのだ。
 出迎えが無いとやたら広いことが強調されるホールを抜け、二階への階段を上る。ホールも階段も常夜灯が点いているため真っ暗闇ではないが、ところどころに明かりの灯る洋館というシチュエーションは臆病心を持って見れば不気味である。城之内はそそくさと海馬の私室へ向かった。
 海馬の部屋にも常夜灯は点いている。天蓋の内にいると分からないが、夜中の出入りには便利なのだ。足元を照らす灯りを頼りに寝台へ近付き、天蓋を捲る。中には身奇麗な海馬が寝ていた。
「んだよ、自分で風呂入ってんじゃん」
 出て行く時散々「動けないのに放って行くなんて酷い!」と喚いていたにも関わらず。動けたとしても酷いといえば酷いが、そこは配達の時間が迫っていたのだから仕方ない。
 普段なら服のまま寝てしまうところだが、スーツでそれは躊躇われ、城之内は一式を脱いで椅子に掛けた。アンダーシャツとトランクスだけになって身震いをする。
「寒っ」
 天蓋をくぐって、城之内は海馬の傍に潜り込んだ。人の入ってた布団最高、と海馬に手を伸ばす。
 しかし、抱きかかえようとした腕は空振りに終わった。きゅっと丸くなった海馬が、城之内とは逆の方向に、まるで逃げるようににじり動いた――恐らく実際に、冷え切った城之内の身体から逃げた――ために。
「可愛くねぇ……」
 眠っている、無意識の行動とはいえ。むしろ無意識だからこそ。城之内が腹立ち紛れに無理やり引き寄せると、海馬はむずかるような声で唸った。
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