注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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※七夕企画です。詳細は7/6付けの記事をご覧下さい。


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「それじゃあ、そこが磐船神社なんですけど、本部はこっちで」
 現地の駅までモクバを迎えに来た社員は、賑わう神社から少し離れたところで車を止めた。
「まぁお弁当食べながら打ち合わせでも」
 打ち合わせ。これから半日ほどこの七夕発祥の地だという交野ヶ原のあちこちを――正確には天野川沿いを――飛び回る、それについての詳細だろう。何しろ、このところ忙し過ぎてモクバは殆ど何も聞いていないままにここへ来てしまったのだから。どれほど忙しかったかと言えば、昨日は支社へ出かけたまま帰れず近隣のホテルに止まり、今日早朝に本社へ戻って最低限必要な荷物を持ち、そのまま家に帰る暇も無く新幹線に飛び乗ったくらいである。
 はあ、とモクバは溜め息を吐いた。誕生日だというのに、顔も見れていない。
「お疲れですか?」
「いや、疲れたっていうかさぁ。誕生日休暇がある筈の会社でなんで誕生日に働いてるんだろうと思って」
 今日の出張が決まった時からそれはもう何度も何度も気が乗らないと言い続けていたが、仕事は無情である。年々規模が大きくなる七夕サミットの祭りだの何だのは広告を打つ場所として申し分なく、それはモクバも認めざるを得なかった。そして開発室の都合で瀬人が広告塔として動けないならモクバが動かなければならないのは仕方が無い。だからモクバもそのサミットの協賛の仕事を取ってきた社員に文句は無い。むしろ褒賞を出したくらいだ。
 ただ、一つ不平を零したくなるのは、全国規模のそのサミットの会場が、どうしてまたこんな関西の私鉄しか通ってないような、しかも私市だか何だかその私鉄の本線駅ですらないような、つまるところ来るにも帰るにも時間が掛かり過ぎる、そんな場所なのかということだ。閉会後飛んで帰っても童実野町に着くのは十一時を大きく過ぎた頃。屋敷に着くのは滑り込みで十二時に間に合うかどうか。
 無論、なんでも何も、ここが七夕発祥の地だからに決まっている。仕方無い。仕方無い、理屈の上では。天野川って実在したんだ、と、目の前を流れる川を見ながらモクバは再度溜め息を吐いた。
 もう少し下流では、かささぎが橋を渡してもいるらしい。
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