枕元の携帯が震え、遊戯はゲームを中断した。携帯を開き、新着のメールを読む。
Time: 12/25 10:31
From: 真崎杏子
Subject: メリークリスマス!
今駅前で本田と会って、皆暇そうなら集まって遊ばないかって話になったんだけどどう?
来れそうなら、駅で待ってるからメールしてね
「今日かぁ。暇だよねー」
海馬邸から追い出され家で一人ゲームをやっていただけなのだから、断る理由はどこにも無い。遊戯はセーブをしてゲームの電源を落とすと、「今から行くよ」と短いリターンメールを送信した。コートを羽織り、昨日貰ったばかりのマフラーを首に巻く。
「えっと、財布財布……あ、昨日の鞄の中だ」
ものの数秒で支度を済ませ、遊戯は二階の部屋から下へ階段を駆け下りた。連絡口から開店休業状態の店へ出る。
「何じゃ、今日も出掛けるのかの」
「あ、じーちゃん。うん、さっき杏子からメールが来て、皆で遊ぶんだ」
「おお、そうかい、気を付けて行ってくるんじゃぞ」
「うん、あ、ママに遊びに行ったって言っておいて! じゃあ、いってきまーす!」
ちょうどバスの時間が近く、遊戯は停留所に向かって走った。軽いマフラーの端がひらひらとたなびく。少し昨日を思い出して、遊戯は口を緩ませた。