注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
Calendar
<< 2025/05 >>
S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
AdministrativeLink
※七夕企画です。詳細は7/6付けの記事をご覧下さい。


+++


 それはそれは見事な、笹の大群だった。どの笹にも短冊や紙の飾りが吊るされ、今日が七夕の日だと強調している。神社というよりも笹置き場といったその様相に、モクバは感嘆の息を吐いた。
「凄い量でしょう? 近隣一帯から、願いの篭った笹が奉納されてきますから」
 宮司の格好をした男が、多分本物ではなく祭りのスタッフだが、得意気に笹を示す。貴方も吊るして見ますかと一枚渡された短冊を受け取って、モクバは控えのテントへ入った。瀬人と違いパフォーマンスというほどには派手で無い製品紹介まで、あと少し時間がある。モクバは机に転がっていたペンを取った。
「短冊かぁ。最近は書いてなかったけど、ご利益あるのかな」
 くるり、ペンを一回転させる間だけ悩んで、彼は短冊に願いを書き出した。
『今日中に逢えますように』
 願掛けのようなものだ。願掛けにしては、しつこいほど真剣に願っているとはいえ。
 モクバは一度テントを出ると、すぐ傍の笹の葉に触れた。どこに吊るしたものか、逡巡して少し高めの位置を選ぶ。織姫と彦星にはよくよく見てもらわないと困るが、人目にはあまり付きたくないのだ。今日中に、だなんて、書いた人間が何となく類推されそうな願いごとなど。
※七夕企画です。詳細は7/6付けの記事をご覧下さい。


+++


「あれ? 今の橋渡んなくていいの?」
 渡された資料の中に合った名所地図を思い出しながら、モクバは運転する社員に声を掛けた。
「あ、はい、混んでるので別の橋から渡ろうかと。もうちょっと行ったところに逢合橋というのがありまして」
 年に一度、織姫と彦星がそこで逢うらしいですよと彼は続けた。
「あー、それで逢合。あ、けどそしたら、かささぎ橋は?」
 それもまた織姫と彦星の使う橋の筈だ。
「……かささぎ橋は雨の日用です。多分」
「結構アバウトだね伝説も」
「天津橋、なんてのもありますよ。他にも、橋だけなら山のように。全部に伝説が残ってるわけじゃないですけど」
 言う間に、歩道を笹で飾られた橋が見えてくる。間違いなくあれが逢合橋だろう。だがしかし。
「なんていうか、車通り多いんだね」
「織姫と彦星も落ち着かないでしょうねぇ」
 慌しさに自分を重ねてみて、モクバは牽牛に同情した。年に一度の日を、落ち着きなく迎えるなんて。いや、モクバの場合は誕生日こそ年に一度とはいえほぼ毎日瀬人と顔を合わせてはいるのだが。
 天野川を渡る車の中、それでも誕生日は特別なのだ――だってそれは初めて兄サマに逢った日だ――と、恨めし気に、モクバは笹に吊るされた取り取りの短冊を睨み付けた。
※七夕企画です。詳細は7/6付けの記事をご覧下さい。


+++


 本部での打ち合わせを終え、モクバが連れて行かれたのは渓谷にひっそり開けた広場だった。見上げると、近くに大きな吊り橋が架かっている。
 その密やかな空間は、しかし今は賑わっている。先の神社は祭りの様相だったのだが、ここもまた屋台に笹にと人集めに余念が無い。そして、打ち合わせで聞いた限り、今日は交野ヶ原一帯、どこもかしこもこれと変わらないのだという。思えば、到着時の駅にすら笹が置いてあった。
「兄サマも一緒だったら観光気分だったのに」
 ぽつりと呟いた言葉に案内をしていたスタッフ――に扮した海馬コーポレーション社員――が振り返る。
「何か仰いましたか?」
「んー、仕事で来るとこじゃないよねって」
 擦れ違った親子の会話に聞き耳を立てれば、その昔この地には星が降ったのだという。星の降りてきた土地だから星の里。その星の里で七夕の祭り。実にロマンティックだ。一人で来たのでなければ。
 まだ時刻も早く親子連れが大半だが、夕方になればカップルも増えるという。出来れば夜に来たかった。二人で。
 出張の本題である製品紹介のため登る舞台を前に、モクバはまた一つ息を吐いた。
※七夕企画です。詳細は7/6付けの記事をご覧下さい。


+++


「それじゃあ、そこが磐船神社なんですけど、本部はこっちで」
 現地の駅までモクバを迎えに来た社員は、賑わう神社から少し離れたところで車を止めた。
「まぁお弁当食べながら打ち合わせでも」
 打ち合わせ。これから半日ほどこの七夕発祥の地だという交野ヶ原のあちこちを――正確には天野川沿いを――飛び回る、それについての詳細だろう。何しろ、このところ忙し過ぎてモクバは殆ど何も聞いていないままにここへ来てしまったのだから。どれほど忙しかったかと言えば、昨日は支社へ出かけたまま帰れず近隣のホテルに止まり、今日早朝に本社へ戻って最低限必要な荷物を持ち、そのまま家に帰る暇も無く新幹線に飛び乗ったくらいである。
 はあ、とモクバは溜め息を吐いた。誕生日だというのに、顔も見れていない。
「お疲れですか?」
「いや、疲れたっていうかさぁ。誕生日休暇がある筈の会社でなんで誕生日に働いてるんだろうと思って」
 今日の出張が決まった時からそれはもう何度も何度も気が乗らないと言い続けていたが、仕事は無情である。年々規模が大きくなる七夕サミットの祭りだの何だのは広告を打つ場所として申し分なく、それはモクバも認めざるを得なかった。そして開発室の都合で瀬人が広告塔として動けないならモクバが動かなければならないのは仕方が無い。だからモクバもそのサミットの協賛の仕事を取ってきた社員に文句は無い。むしろ褒賞を出したくらいだ。
 ただ、一つ不平を零したくなるのは、全国規模のそのサミットの会場が、どうしてまたこんな関西の私鉄しか通ってないような、しかも私市だか何だかその私鉄の本線駅ですらないような、つまるところ来るにも帰るにも時間が掛かり過ぎる、そんな場所なのかということだ。閉会後飛んで帰っても童実野町に着くのは十一時を大きく過ぎた頃。屋敷に着くのは滑り込みで十二時に間に合うかどうか。
 無論、なんでも何も、ここが七夕発祥の地だからに決まっている。仕方無い。仕方無い、理屈の上では。天野川って実在したんだ、と、目の前を流れる川を見ながらモクバは再度溜め息を吐いた。
 もう少し下流では、かささぎが橋を渡してもいるらしい。
※七夕企画です。詳細は7/6付けの記事をご覧下さい。


+++


『絶対帰るから!』
 悲痛な叫びに瀬人は思わず受話器を耳から離した。電話の相手はモクバである。
『絶対帰るから、絶対家にいてよね』
 何度目か分からない確認に瀬人は息を吐いた。別に無理して帰ってこなくてもいいぞと、言うのはやめておく。それを言った結果が今のこの念押しの嵐なのだ。
「分かったか分かった、今日は残業も泊り込みもせず家にいてやる。だから、早く仕事に行け。お前が行かなければ何のための出張だ」
 先程新幹線が駅に着いたと掛けてきた電話だ。交通経路から考えるとまだ少し余裕のある時間だが、少々うんざりしつつ瀬人はそう告げた。
 尤も、うんざりするのは些か可哀想でもある。
『それにしたって、何で今日に限って出張なんて……ウチは誕生日休暇導入してるんじゃなかったの』
「従業員にはな。我慢しろ、役員」
 何しろ、今日は七夕、そしてモクバの誕生日であるので。
 というわけで、七夕&モクバ誕のプチイベント「交野ヶ原にて」のお知らせです。今回は前回のクリスマスみたいな感じで行きます。でもプチイベントなので二十四時間体制ではなく半日で。
 既にサイトは七夕モードになってる筈ですが(なってない方はリロードしてみて下さい)、本格的な企画はお昼から開始です。会場はいつものようにこのブログ。ここでリアルタイムにモクバの七夕の半日を覗き見です。モクバの行動時間に合わせてここで小話が更新されていきます。
 今回はモクバ誕生日ということで全面的にモク瀬人です。そしてまぁ私のサイトなので大人モクバです。小話は半日後からの開始ですが、開始前に粗筋だけ書いておくと、

 七夕発祥の地である交野ヶ原で七夕サミットが開かれるのに便乗してKCが広告を打つことに。瀬人が開発室を離れられなかったため宣伝等としてモクバが交野ヶ原まで出張に行くことになりました。誕生日なのに。

という感じです。交野ヶ原は実在の土地。七夕サミットも実在のイベント。交野ヶ原には京阪線という京都と大阪を結ぶ私鉄が通っていて、この私鉄が毎年気合入れて七夕イベントをやっているのです。というか、引越しもしてしまって今更ばれて困ることも無いので書きますが、ぶっちゃけ私の地元でした。微妙に交野ヶ原からは外れてるんですが、七夕じゃなくても普通にかささぎ橋を渡ったりしてました。天野川に架かってます。かささぎ橋。
 で、そんな七夕由来のものが多過ぎる交野ヶ原を興行? で回るモクバの半日の話です。

 あ、この辺の地名は難読地名に入ってるらしいので一応読み仮名。
 交野ヶ原:かたのがはら
 私市:きさいち
 枚方:ひらかた
 磐船神社:いわふねじんじゃ
 逢合橋:あいあいばし
 天津橋:あまつばし
 機物神社:はたものじんじゃ

 読み仮名以上。ところで七夕サミットの彦星のエンブレムがイケメン過ぎてビックリするのでお暇な方はグーグル先生に見せてもらってみて下さい。ゆるふわウェービーロンゲの彦星・・・

 では、小話開始はお昼からです。それまでは七夕モードのサイトをお楽しみ下さい。アイコンとか諸々が地味に七夕バージョンです。
 やっちゃったなーと思う時ー。
 鼻歌交じりに作業してたら窓が開いてて、隣のベランダから物音がした時ー。
 ・・・あああ引っ越したばかりなのに引っ越したいいいいいぃぃぃぃ! 鼻歌、超オタソングでした。近所関係が希薄なマンションなことだけが救いか・・・隣の人の顔見たこと無いです。

 話は変わって、今日立ち寄ったところに笹が飾ってあって、短冊ご自由にお書き下さいってなってたので書いてきました。オタなアレだとは分からないようにぼかしつつサイト関連の願いごと書いてみました。沢ノ井の名前で。もしそんな短冊を見付けた人がいたら私のご近所さんです。
 七夕は、準備中ですが間に合うか非常に怪しいです。間に合わなかった場合不思議なタイムスケジュールで企画が動くかもしれません。一応サイトを七夕モードにする準備はできたけど肝心の中身が・・・凄く・・・途中です・・・
 七夕に開始して週末くらいまで延長戦な予感もするようなしないような。取り合えず頑張ります。


 拍手有り難う御座いました! 忘れられていくの切ないですよね!
 瀬人が忘れられるという妄想に取り付かれました。瀬人は割りと人々の記憶に残りたがるタイプだと思うのですが(良くも悪くも執着心が強い)、そんな瀬人が忘れられていく妄想です。で、ちょっと死にネタかつ後味悪い妄想なのですが、瀬人があんまり長生きしてなくて早世した設定で。
 モクバとかそれはもう食事も喉を通らないレベルに嘆き悲しむんですが、でも段々立ち直って、そしたら今度はちょっとずつ忘れていってしまうわけです。まずは思い出にして、それから徐々に思い出すことも少なくなって、最終的には完全に記憶の引き出しの奥へ。・・・だけではあんまり萌えない感じですが、天国なのか地獄なのか何かそういう死後の国があって、そこから瀬人がその様子をずっと見てると思うと萌えてきませんか。忘れられたくない瀬人が、自分が忘れられていく過程を見てるわけです。
 その瀬人の様子を眺める方が本題ですね! 最初にも書いた通り後味悪い妄想ですが、瀬人が死んでなお絶望に囚われていくとか、エンドレス不幸過ぎです。でもそんな可哀想なところに萌えてしまう・・・萌えって複雑です。


 拍手有り難う御座いました! 女装いいですよね女装。
<< Future  BlogTop  Past >>
|87|88|89|90|91|92|93|94|95|
BlogPet
突付くと喋りますが阿呆の子です。
BlognPlus


Template by Toko/A violet