注意! カップリングも傾向もごった煮の無法地帯です。苦手な方はUターンどうぞ。最近はシモネタにも注意した方がよさそうです。今日、昨日、明日。起きてから寝るまでが一日です。
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※クリスマス企画です。先に説明からご覧下さい。


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「海馬君。海馬君、寝ちゃった?」
 どうしよう、と遊戯はどろどろになった海馬の身体を眼下に眺めた。どうしようといっても、どうしようもない。前夜の睡眠不足が祟ってか終わった瞬間に落ちた海馬が目を覚ます気配は無く、遊戯が海馬を浴室まで運ぶことは試すまでもなく不可能である。引き摺る、ならもしかしたら可能かもしれないが、肩を貸して引き摺るには身長が足りず、床を引き摺るのは高そうな絨毯にも柔そうな海馬の肌にもよろしくない。
「海馬くーん……」
 もう一度呼び掛けてみるが、やはりピクリとも動かない。
「駄目だぁ、絶対起きないよこれ。明日仕事あるんだったらどうしよう」
 それすら聞き出さない内に寝入られたのだ。遊戯は頭を抱えながら浴室に向かった。せめて表面を拭くだけでもと脱衣所で備え付けのタオルを取り、バスタブから汲み上げた湯に浸す。洗面器ごと部屋に持って戻り、寝台の足元に置いた。
 絞ったタオルでまずは海馬の顔を清める。それから首筋、肩へと降りた。
「ん……」
 鎖骨の窪みに触れると海馬が小さく身じろぐ。起きるわけではないが時々反応を返すようになった身体に、遊戯の悪戯心が騒いだ。そっと、タオル越しでなければ愛撫になるような手付きで乳暈の縁を拭く。反射なのかツンと立ち上がった乳首に遊戯は唇を寄せた。
「今起きちゃやだよ……」
 ちゅ、と小さな音だったが、静かな部屋の中では聞き逃すことも無かった。遊戯が真っ赤になって顔を上げる。彼は海馬の身体に目立って残る汚れだけを御座なりに拭くと、あわあわと浴室に駆け込んだ。
 ここに付けたらどうなるだろう? 好奇心のつもりが、赤子への授乳を連想しただなんて言えない。きっと「オレは男だ」か「母性を汚すな」のどちらかの方向性で怒るだろうし、そもそも寝ている人間にそれはどうなんだって観点から怒られるかもしれない。遊戯は逃げ込んだ浴室でシャワーを浴びながら、何を言われるだろうかと恐ろしい想像をした。
 あらぬところへ付けられたキスマークに、明日の朝海馬が気付くかは定かでない。
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「あ、ぁ、メリー、クリス、マス」
「あん? 何だよ急に」
「日付。変わ、った」
 揺さ振られながら、海馬が壁に掛かった振り子時計を指差した。装飾過多な文字盤の上で短針と長針が重なり、秒針が半回転ほど進んでいる。
「時間チェックとは余裕じゃねーの」
「余裕、だからね。そんな浅いところで焦らさないで、もっと奥までちょうだいよ」
 時計に気を取られ城之内の動きが緩慢になった隙に、海馬はそう言い切った。白い足を絡み付かせ城之内の腰を引き寄せる。
「あは、」
「あ、コラてめ、一人で善がってんじゃねーよ」
 城之内が海馬の腰を掴み直した。先よりも激しく突き上げて、海馬の余裕を打ち崩そうとする。海馬が動きに合わせて足の形を変えた。
「あ、ぅん、そう、そこ、そう」
 直腸と結腸の境まで押し広げられる感覚に、海馬は何度も「そう」と繰り返した。時折「もっと」という言葉も混じる。
「ホント貪欲だよ、てめーのココは」
 無骨な指が、出し挿れされる硬い肉茎にこすられ充血している肛環をなぞった。海馬の足が跳ね上がってシーツを蹴る。
「結構デカイ自信あったのに、やすやす根元まで飲み込みやがって」
「自信、喪、失?」
「しねーよ。お前が異常なんだ」
 はは、と海馬が擦れた愉快そうな笑いを上げる。腹が震えて、中に埋まっている城之内を蠕動が包んだ。
「異常、だ、なんて。酷いな、ぁ。ぁは、心配、しなくても、キミのは、いいよ」
 城之内の下で海馬は腰を振る。
「あぁ、凄く、いい……」
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「あんなに道が混んでるなんて、予想外だったな」
「本当。途中まで電車で帰ってきた方が早かったね、きっと」
 海馬はヘリを呼べばよかったなと言い掛けていたが、それでは折角目立たないように服装まで変えて遊んだ一日が台無しだ。もう海馬邸に戻ってきているのだから気にする必要は無いが、今日はお忍びだったのだから。
「でも、今日は楽しかったよね。道が混んでたのだって、遅くなったから海馬君ちに泊めてもらうって言いわけになって、かえってよかったかも」
「言いわけが必要になるようなことを?」
「うん。……してもいい?」
「好きに」
 遊戯が海馬の手を引く。防寒具も取らぬまま、二人は寝台に縺れ込んだ。
「好きに、とは言ったが。コートくらい脱ぐ暇を」
「ボクが脱がせてあげるから!」
 いつもなら着ない系統の服。ただ脱がれては面白くない。遊戯はボタンへ伸び掛けた海馬の手を止めると、いいでしょ、と満面の笑みを浮かべた。
「まずはマフラーね」
 灰青のマフラーを外す遊戯の手を海馬は黙って見詰めた。手がコートに掛かっても、服の中に忍び込んでも、ややマグロ気味に、遊戯の好きなように、されるがままになっている。
「ん、……ぁ」
 冷えた手が脇腹を撫でると、海馬の口から吐息が漏れた。
 積極的に求めるわけではない。受動的で、喘ぎすら噛み殺す。ともすればつまらない行為になりがちな海馬の態度だが、遊戯はそれが好きだった。
「海馬君、海馬君。目を開けて」
 瞼の下から現れる瞳の色が、ちょうど外したばかりのマフラーのような薄い青灰色になっていることを確認するだけで、遊戯には充分なのだ。
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 月明かりを頼りに手鏡を覗きながら、瀬人が頬を撫でた。
「何やってるの」
「いや」
 鏡をサイドテーブルに置き布団の中に潜り込むと、瀬人は先に入っていたモクバを枕に寝心地の良い姿勢を探り出した。定位置を見付け、よし、と呟いてから切り上げられたように見えた鏡の話を続ける。
「近頃すこぶる肌の調子がいいんだが、いいセックスをしていると調子が上がるというのは本当だろうか」
「え、その話題オレに振るの?」
 肯定すれば自画自賛、否定すれば自虐である。当人としてはノーコメントを貫きたいところだろう。何をしてるのかなんて聞かなければよかったと、モクバは遅い後悔をした。
「少し前はどうにも荒れやすくてな。その話を小百合にしたら、そう言われたんだ。静香も聞いたことのある話だと」
「ちょ、外でなんて話」
「実際、少し前までお預けだっただろう。術痕が塞がったはいいが拡張に手間取って」
「あんまり生々しい話は聞きたくないなぁ……」
「時期的にちょうど重なるんだ。北村は若い子の精気吸い取ってるからじゃないのと言うんだが」
「兄サマ忍ぶって言葉知ってる?」
 噛み合わない会話が虚しく天蓋の内に響く。精気は吸い取られるより失われてる方が多いんじゃないかな、と、モクバは突如感じた疲労にそう思わざるを得なかった。多分、失われている。今まさに。
「忍ぶくらいオレの辞書にも載っているわ。だがそもそも何を忍ぶことがある」
「やー……オレたちの場合割と結構あるんじゃない?」
「愛の前に性別なんて」
「それバイの人が言わなきゃ説得力無いと思うんだ」
「というか間違えたな。愛の前に近親だなんて」
「もの凄く同意だけど、ほら、慎みとゴシップ的にさ……」
 ゴシップ程度で傾く海馬コーポレーションではないが、週刊誌に載るのはもう懲り懲りなのだ。女になりました会見のあとの、マスコミ連中の猛攻といったら! あのうんざりする状況を思い出して、モクバは深く溜息を吐いた。
 瀬人の目の冴え具合からいくと、溜息が寝息に変わるにはまだ暫く掛かりそうである。
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 ケーキに紅茶。サテライトには稀である優雅な一時は、気付けば実にサテライトらしい安酒にての宴会に変わっていた。かろうじてラリーだけジュースだが、他は皆グラスに酒を注いでいる。全員未成年だが、サテライトの、それもこんな地下のアジトで、誰が何を言おう。おまけに彼らの飲んでいる酒のラベルには、シティではお決まりの「未成年の飲酒は法律で禁止されています」の一文も無い。むしろメーカー名もバーコードも無い。密造酒。未成年の飲酒以前の問題である。
「でさ、工場長がまた酷いんだよ」
 ブリッツが遊星に向かってくだを巻く。聞いているのかいないのか解らない態度だが、遊星はちゃんとくだを聞いていた。そして逃げ遅れた、と思っている。
 ナーヴとタカはソファに移動し差し合いで呑んでいる。ジャックは風向きが怪しくなったのを見て取ると、ビン一本を持って奥の部屋へ引っ込んでいった。そして今、酔っ払いの相手などしてられないとばかりに、ジュースを抱えたラリーもそそくさと部屋を出て行ってしまったのだ。
 ラリーは、多分ジャックのところに退避したのだろう。羨ましい。オレもそっちに行きたい。心の中で遊星はそう訴えた。無論、口に出さない訴えなど誰にも届かない。
「おい、遊星、聞いてるかぁ?」
「ああ、聞いてる。ラインの速度が尋常じゃないんだろ」
 こうして聞かれた時に答えるだけでそれ以外は特に口も挟まなければ相槌も打たない遊星を相手にするのと壁を相手にするのはそう変わらないような気がするが、ブリッツにとってはそうでもないらしく、遊星はかれこれ数十分この状態でいるのだった。いっそさっさと潰れてもらおうと積極的に酌はしているが、なかなかその気配も見えない。
 あっちに行きたい。ジャックとラリーが消えた仕切りカーテンの向こうを、遊星は恨めし気に見詰めた。
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 人がごった返すアーケードの店で、遊戯と海馬は閉園の案内を聞いた。
「どうしよう、もう十時だって。まだお土産買えてないのに」
「大丈夫だ。新規の客は入れないが、今店内にいる客が出切るまでは営業してる」
 何を買うんだ、と海馬は遊戯の手許を覗き見た。『遊戯』の買うものが気になる恋人の視点半分、『客』の買うものが気になる経営者の視点半分で。
「それが、なかなか決まらなくて。マ……母さんに、海馬ランドに行くならお土産よろしくねって言われたんだけど、何がいいかなぁ」
「母親にか」
 海馬が一緒になって考え込む。手近なお菓子缶や絵皿、陶器人形の上を彼の視線が左右した。
 売れ筋は低価格帯のクッキー缶やチョコレート缶だ。愛らしくデフォルメされたブルーアイズ――間違っても無様に歪められたトゥーン姿ではない。トゥーンの何が気に喰わないかといえば洗脳でもされているかのような眼だ――が踊る図柄の缶は成人女性を中心に人気の品であるし、万が一図柄が受けなくとも中身が菓子であるから、そうがっかりさせることは無い。
 計算を終えると、海馬は棚から三つの缶を取って遊戯に渡した。
「この辺りはお前の母親くらいの層に人気の品だが、どうだ?」
「あ、お菓子缶だね。うん、母さん甘いもの好きだしこういう缶集めて小物入れにしてるしちょうどいいかも」
「一応、他のモンスターの柄もあるぞ。さすがに全種ではないが、特に人気の高いものや各種族の代表的なモンスターなら。お前の母親の好みは?」
 幻想的な妖精や魔術師、いかにもな騎士風の戦士、アメコミ調の獣、カードを知らなくても好みは出る。遊戯は昨夜の母親との会話を思い浮かべた。
「うーん、でも、やっぱりブルーアイズだな。海馬ランド、って感じがするのがいいみたいなんだよね」
 渡されていた三つの内、暗い青地の缶を遊戯が持ち直した。缶には、ブルーアイズをメインに、他の幾らかのモンスターも列を成して描かれている。どのモンスターもがクリスマス仕様の格好で、城や園内に多数設置されているワゴン、噴水の合間を縫って行進しているのだ。暗い青地は夜空の表現らしく、ところどころに花火が上がっている。
「これにしようかな。これ、さっきのパレードみたい」
「あぁ、そういうコンセプトでデザインさせたやつだな。この冬限定販売」
 限定の言葉が背中を押す力は半端無い。
「じゃあ買ってくるね。ええと……」
「ドアの外で待っている」
 レジの近くのドアを海馬が指差した。
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「タイム」
「正当な理由があるなら」
 寝台の上で、すなわちこれからという時に発動されたタイムに、モクバは明らかな不満を持ちつつも譲歩した。まあ、偶にあることだ。そして正当な理由はいつも無い。
「食べたばかり……」
「っていうほど食べたとこじゃないよね。しかも殆ど食べてないよね」
 反論されるとそこで詰まるのもいつものことだ。仕事中の、冴え渡り過ぎて刺々しいまでの弁論術はどこへ行ってしまっているのだろう。疑問は端に置いて、モクバは瀬人の横に寝転がった。
「で、今日は何さ」
「今日はとはなんだ今日はとは。いつも拒み倒しているかのような言い方をするな」
「いや、だって、五回に一回くらい止めるよね」
 途中で、の話である。疲れてる、気分じゃない、最初に言う分には大人しく引き下がりもするが。
「生殺しもいいとこだよ。ここまできてから止めるなんて」
 盛り上がってきた頃に些細なことを思い出して静止を掛ける癖は、是非とも直して欲しい。
「肉が」
 ぽそりと、瀬人が呟いた。肉? さっきのサンドウィッチに挟まっていた? いやこのタイミングでそんな筈は。
 モクバの手が瀬人の服を捲った。
「ああ……薄っすら?」
「マーケットで食べたジンジャークッキーとグミが憎い!」
「別にお菓子を憎まなきゃいけないほどじゃなくない?」
 薄っすら肉付きが良くなってはいるが、まだまだ痩せ型の範囲だ。だいたい、比較対象が過去の自分の時点で間違っている。男から女になれば体脂肪率が上がるのは当然なのだから。むしろホルモン剤が正常に作用しているようで良かったとさえ言えるのではないだろうか。
「気にならないか?」
「ならないね」
「だがオレは気になる」
「気にしない気にしない。それに、太ったっていうなら余計に運動すべきだよ。ほら、フランス式ダイエットとか言うし。兄サマ上に乗る?」
 仰向けになったまま、モクバが腕を広げた。瀬人はその口車に乗る。
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 食卓いっぱいの料理は、始めから一食分でもなく、ある程度食べ進められたところで残りは明日にと片付けられた。既に程よく腹を膨れさせていた面々に文句は無い。食卓の上が空になると、遊星とジャックは揃って席を外した。
 ジャックは『ラリーの自信作』のための紅茶を入れにキッチンへ、遊星は三徹の成果を取りに作業場へ。それぞれ別の場所へ行ったのだが、帰ってきたのは遊星の方が早かった。
「本物の樅の木は無かったから」
 作った、と、最後まで言わせずラリーが歓声を上げた。
「クリスマスツリーだ! 電飾も付いてる!」
 鉢植えサイズを模した小振りのツリーには、根元から伸びるコードに連なって、電球が付いていた。電源部は鉢の中に隠してあるのだ。遊星が鉢の裏のスイッチを押すと、電飾は金属の枝葉の間で柔らかい光を湛え出した。赤み差す金色の素材に反射して、光がツリー全体をぼんやりと光の幕で包み込む。幻想的な光景には、ラリーだけでなくナーヴたちも驚嘆を示した。
「綺麗だな……有り難う遊星! ジャック、ジャックも見てこれ!」
 遊星からツリーを受け取ると、ラリーは弾むようにしてキッチンに駆け込んだ。ちょうど各カップにお湯を注ぎ終えたところのジャックが、コンロにやかんを戻している。
「遊星が作ったんだよ! 凄いよね、きらきらしてさ、凄いんだ」
「凄い以外の感想は無いのか?」
「だって凄いんだよ!」
 これだけ喜ばれれば三徹の甲斐もあるだろうなとジャックは昨晩机に向かっていた遊星の背中を思い起こした。記憶の中の背中は随分草臥れていたが、まぁ、これだけ喜ばれたならいいものだろう。
「さて、ツリーに喜ぶのもいいが、お前にも皆を喜ばせる用意があるのではないか?」
 冷蔵庫に視線をやりながらジャックが問う。ラリーは、あっと言ってジャックと冷蔵庫の間をうろうろ落ち着かなく動き出した。それから、思い付いたようにジャックへツリーを差し出す。
「ジャック、これ持っててよ」
「何?」
 条件反射で突き付けられたものを受け取って、ジャックは一歩後ろに下がった。ラリーが冷蔵庫を開けて食後のお楽しみを取り出し、食堂へ向かう。
「皆注目! ケーキ様の登場だぞ!」
 やんやと囃し立てる音を微かに聞きながら、ジャックはツリーを調理台に置き、並べられた不揃いのカップからティーバッグを出して捨てた。
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